「沙棠の舟」第1弾18作を読み終えました。
短編小説リンク集「沙棠の舟」、自分のは読んでないので実は17作なのですが、一周できました。
ジャンルはバラバラだし、気楽に読めるものもヘビーなものもまぜこぜ。正直、普段なら読まないようなものも摂取することとなり、勉強になりました。
先日のツイキャスでご一緒した転枝さんと放送の打ち合わせをしたときに、「『沙棠の舟』はweb小説界の縮図なのではないか」という話をしました。
確かにそうだと思います。あまりにも広すぎて深すぎて全体像を把握できないweb小説という世界の像が、「沙棠の舟」を巡ることで少しだけ掴める気がします。
こうして色んな作品が並ぶと、ヘビーなものの方が印象に残りやすいですね。そりゃそうか。そこは今後アンソロジーに参加するときの参考にしようと思います。とは言っても、私、残酷な描写とか書けないんですけど。
ここからは各作品について、全てではありませんが触れていきます。
Twitter等で存じ上げている方々の作品については、どれも「その人らしさ」が滲み出ていたと思います。私の作品もそうだったのかどうか……私自身では分からないのですが、そうだったら良いなぁと思います。これからも夏をエモーショナルに描いていきたいです。
存じ上げている方の作品の中で、個人的に、特に「とんでもねぇな(褒め言葉」と思ったのがこちらです。
伴さんの作品はほかにもいくつか読んだことがあり、なんとなく「伴さんはこういうのを書く人」というイメージが、私の中に形成されています。今回の作品も、この「らしさ」を裏切らず、かつそれが濃く出ているなと思いました。「なんか上手く生きられない人」の描写がリアルです。流石過ぎて読み終わったときに「伴さぁーーーん!」と叫びました。心の中で。カフェで読んでいたので声は出せませんでしたが、それくらい凄かったのです。ぜひ読んでみてください。
知人の作品の所感に続きまして、「起点」についての所感です。
「沙棠の舟」は、どの作品を起点にして読んでもぐるっと1周、全作品を巡って楽しめるリンク集となっています。
私は「とりあえず知っている方の作品から」と思って転枝さんの『姦しく、雫』から読み始めたのですが、全部読んでみた結果、私から見て「この作品を起点にすると良いんじゃないかな」という作品は別にありました。
知り合いでもないのに勝手に紹介してしまいます。大丈夫でしょうか。
印象としては「可愛らしい作品」です。
物語の長さが「沙棠の舟」の中では短い方(という印象)ですが、ストーリーがしっかりまとまっています。内容も重苦しくなく読了感がさっぱりしていて、とっかかりにするにはもってこいなんじゃないかなと、読んだときに思いました。
ですが、参加作品をサイトがオススメしてくる順に並べてみると、「この辺からスタートするのが良いかな」という位置が少し変わってきます(画像は、私のが一番下に来るように並べただけのものです)。
個人的には『水際に種』から読み始めるのが良いように思います。そこから『治療術師と黒猫』までのエリアが全体的に読みやすかった印象です。
そこから始めて『会社員はケツァルコアトルスのことを思わない』で打ちのめされる流れ、良いですね。ぜひやってみてほしいです。
確か『水際に種』は、昨年の夏に私も参加した「web夏企画」の参加作品でもあったかと思います。個人の感想ですが、企画のイメージ通りの、綺麗な描写の作品だなと思いました。登場人物のキャラクターも個人的に共感できたり小気味良い性格だったりします。
そして、『近くて遠い街(拙作)』から、暗いものが漂いだします。引き続きストーリーが明快だったり読了感がさっぱりしている作品ももちろんあるのですが、鈍器で殴ってくるような重さを孕んでいたり、「難しい。これを難しいと思ってしまう自分は、もしや馬鹿なのでは?」と考えさせてきたりと、なかなかアグレッシブな作品も潜んでいます。
言い換えると、拙作以降は「読書は『楽しむ』ものではなく、『挑む』ものなのだ」みたいな作品が所々に紛れているエリアになっているのです。
あくまで個人の感想、オススメです。好みは人それぞれですし、本来はどの作品から読み始めるのも自由なリンク集ですので、各々の楽しみ方で読むのが一番だと思います。
そして最後に。
ここに挙げた以外にも「この作品、良かった!」という作品がいくつもあるのですが、それはサイトやTwitterで感想を送ろうかと思います。語彙力が試されますね。「良かった! ブラボー!(スタンディングオベーション」という勢いを、馬鹿っぽくならず伝えたいのですが……勢いと最低限のクレバーさとの両立が難しそうです。
あと、『沙棠の舟』を制覇した方と読書感想会と言いますか、エントリーされた作品について語らえたら楽しいなと思うので、一人でも多くの方に制覇してもらいたいと思っています。そういう意図もあってこの記事を書きました。
どうやら第2弾も近々公開されるようです。私はエントリーしなかったので、今度は純粋に読者として楽しめたらと思っています。
主宰の遊乃実さん、お疲れさまです。第2弾の公開、待っています。
最後の最後に拙作のリンク置いとこ。
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